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司法修習の思い出 検察編

本欄は 司法修習の思い出 裁判所編  の続きです。

・検察修習と検察官について
検察修習は検察官になるための訓練です。一般の方には検察官という職種自体がなじみがないかもしれないのでその概要を説明すると、罪を犯した人については必ず刑罰を科す前提として裁判が必要なので(適正な手続なく人を罰することはできないという憲法の理念に基づきます)、捜査資料をもとに容疑者を起訴して刑事裁判を進行する役割を担っています。
ただ、検察官は警察に捜査を任せきりで自らは全く捜査しないかというとそうでもなく、むしろ捜査の最終仕上げとして、本人を取り調べたり、訴追に必要な点について追加で警察に調査を指示したりするなど、最終的に有罪判決を得ることを見越して全般を指揮遂行する重要な役割があります。

・検察修習の中身について
私は検察修習で、窃盗事件の容疑者の取り調べを行い、供述調書を作成したうえで起訴状を起案しました。
基本的に司法修習生に割り当てられる事件は、窃盗や暴行などの軽微かつ単純な類型の事件が多く、詐欺・横領などの知能犯や、殺人などの重罪事件、そのほかの特殊事件は割り当てられることはありません。
とはいうものの、簡単であると思われる類型の事件であっても容疑者の性格は千差万別であり、おとなしく素直に取り調べに応じてくれる方がいる一方で、修習生を脅した方もいらっしゃるようで、陰キャで司法試験のための勉強ばかりしていて社会にでたことがない当時の自分としては、取り調べは本当にびくびくしながら行った記憶があります。

・検察修習の思い出
ただ、この検察修習は裁判修習や弁護修習とは異なり、同じ千葉修習の修習生が一番多く集まる修習であったので、一番にぎやかで楽しかった思い出があります。
一日中ずっと修習生同士多数で過ごすので、お互いの修習生の人柄をよく知ることができる機会でもあり、修習全部の中で一番楽しかったという記憶が残っています。
指導を担当していた検察官の方はとても素敵な方で、検察官もかっこいいなと思ったのですが、ただ暴力団関係者を含め海千山千の容疑者を相手に取り調べを続けられるほど自分のメンタルが強くないことはわかっていたので、検察官は憧れにとどめ、自分は弁護士を目指すことにしました。