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司法修習の思い出 裁判所編

・自分の司法修習について
自分は新64期という期で、司法修習先は千葉に配属されました。
司法修習中(当時2010年)の詳しい情報についてはおそらく司法修習中の公務員としての守秘義務があるので書けないのですが、その範囲内で思い出をお話ししたいと思います。

・当時の司法修習の流れについて
当時の司法修習は基本的には裁判修習、検察修習、弁護修習の3つに大きく分かれており、その修習を経て、最後に和光市の司法研修所に皆が集まり、二回試験(司法修習生考試)に向けた準備を行うという流れでした。途中、修習のクールの合間に、一時的に司法研修所で勉強したりする期間などはありましたが、大体はこんな感じであったと思います。

・裁判修習の思い出
修習の中で一番緊張が求められたのがこの裁判修習でした。
裁判修習は実際に裁判官が執務している裁判官室の中に司法修習生の席が置かれており、位置的には裁判所書記官と裁判官の中間あたりの席に座ることになりました。その中で、実際に裁判官も使っている事件記録を見ながら、あたかも自分が裁判官になったように判決を書いたりする指導を受けます。
修習は基本的に裁判官と同じ行動をトレースするので、ただ書面を作成するだけではなく、実際に法廷に出て何時間にも及ぶ証人尋問を聞いたり、裁判員の会議に参加することもあります。それだけでも当時の自分としては新鮮だったのですが、なにより一番受けた印象は裁判所は実際に勤務している裁判官の方も含め、失敗してはいけない場所というような独特の雰囲気感が特にでていたように思います。何気ない時間でも冗談を言ったりふざけたりとてもできないような、いい意味で粛々とした高尚な場であったように感じます。
裁判官も、裁判が終わるとすぐに自分の席に戻って起案したりして、日中はお互い裁判官同士の会話はあまりなかったように感じます(もちろん仕事帰りや昼食などのオフのときはとても気さくでいっぱい話されるような方でも仕事中は寡黙で、そのギャップがすごかったです)。
裁判所は仕事にかける情熱が高くないととても務まらないような、ある意味選ばれたエリートの戦場という雰囲気でしたので、基本的にだらけたい自分の将来には向いていない場所だなと2週間くらいで察した記憶があります。ただ、日本の司法を支えているのはこういった方々なのだと非常に尊敬しましたし、現在も私は裁判官とは非常に敬意をもって接するのですが、その原因となったのもこの修習によるところが大きいです。