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後遺症逸失利益の計算方法
・概要
すでに 後遺症が残ったときの賠償 欄でご案内しましたが、事故で後遺症が生じた時は、相手方に逸失利益について賠償の請求ができます。
本欄ではその計算方法について簡単にご案内します。
・基本的な考え方
後遺症の逸失利益の額は、本当に簡単に言ってしまえば、後遺症によって発生した将来の収入喪失分の合計です。
その将来の喪失分については以下の計算式で計算できます。
「基礎収入(年収) × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間」
例えば、現在40歳の年収500万円の方が、第11級の後遺障害として労働能力喪失率を20%とされ、67歳まであと27年間働けたとみた場合、簡単な考え方を前提とすると逸失利益は次の式で計算されます。
500万円×(20%)×27年=2700万円
簡単な考え方としては上記になるのですが、裁判実務では、中間利息控除といって、将来時点でもらえる総額金額を現在時点でまとめてもらう場合に、その利息分を控除する考え方がありますので、実際はこれより少ない金額である1800万円程度を受領することになります(本当に大雑把に言うと、この約1800万円という金額を毎年少しづつ取り崩しながら3%の利息で運用しつづけると67歳の時点では総額2700万円分になるということです)(なお複利であるライプニッツ係数で計算しています)。
・裁判で争点となるところ
逸失利益は基本的にはほぼ生涯賃金を問題にして賠償を請求することになりますので、金額は非常に大きくなることが多いです。
そのため裁判でも様々な点を熾烈に双方争うことになりますが、その中でもよく裁判で争点になるところとしては、基礎収入の額(賃金センサスを使うのか、現在の年収が続く見込みがあるのか)や、労働能力喪失率(後遺症の等級や、後遺症がその職業に与える影響からより多く喪失率を考慮すべきか)といったところです。
これから請求を考えている方でご不安な方は、弁護士に相談していただければ大体の見立ては立つと思いますので、遠慮なくご相談ください。