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スキマバイトアプリの注意点
・概要
タイミーやシェアフルなどのいわゆるスキマバイトアプリを利用するにあたり、導入にあたってすでに業者側から必要な説明はあったかとは思いますが、特に注意が必要な点を案内します。
・労働者と直接雇用契約の関係にたつことの重要性
まず大前提として、労働関係の法律は労働者保護を重視しており、雇用する側には様々な制限やペナルティ・罰則の規定が置かれています。
そのため、これまでは派遣という形で、直接雇用契約を締結せずに、企業側は働き手を確保できる仕組みが確立されていました。いわゆる派遣の場合、雇用契約があるのは派遣元の会社と派遣される社員との間であり、受け入れ側の企業は派遣される社員との間に直接雇用契約は締結しなくても済むのです。
ところがそういった労務管理については派遣会社としては非常にコストがかかるので、派遣よりもローコストで人材を紹介するという流れでスキマバイトアプリが流行するようになりました。このアプリ経由で人材を受け入れる場合、受け入れ側の企業はその方との間に直接雇用契約を締結する必要がありますので、労働関係から生じるトラブルについてはすべて受け入れ側の企業が負担することになります。
・直接の雇用契約から生じる問題点
この点で一番の問題となるのが労災保険の適用の有無です。
例えばですが、紹介された方が高齢の方でふらふらしており作業中に転倒したりするケースや、あるいは疾患持ちの方などが正常な判断ができずに機械の操作を誤って事故を起こしたケースなども労働中に起きた事故として労災事故扱いになります。
事業者としてはきちんと紹介される方の適正を事前に判断することが難しいため、こういった事故は起きやすい環境であるといえます。
そんな中、ご存じのとおり労災保険料については労災保険の支払実績に応じて労災保険料を増減させる「メリット制」と呼ばれる制度が採用されていることがありますので、労災事故が頻繁におきると企業側が支払う労災保険料が増額されてしまいます。
また労災事故の場合、労災で仕事を休んだ時の労災からの給付は給与額の約6割止まりであるため、残りの部分については企業側に落ち度がある場合は支払義務があります。そのうえ、労災で発生した慰謝料などは労災保険の給付の対象とはならないので、被用者が受けた損害で労災保険でカバーしきれないものについては後日裁判で請求されるリスクがあります(スキマバイトは基本的に短期労働なので、被用者としては今後の会社との関係や雇用継続などを考える必要がないので躊躇なく裁判を起こすことができます)。
・そのほかにも
上記のほかにも直接の雇用関係に立つことにより生じる様々な制限が受け入れ側の企業に適用されることになります。ここでは紹介しきれないのですが、スキマバイトアプリ利用については上記の問題点があるということも念頭にいれて導入をしていただければと思います。
