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知人間での金銭の貸し借りのトラブルについて

・知人間の金銭の貸し借りのトラブルについて
よくある相談類型の一つなのですが、「知人にお金を貸したが返してもらえない、なんとかとりかえせないか」といったものがあります。
友人関係に金銭がからむと、せっかく築いた関係も気まずいものになってしまいますし、借りたほうも返せなくなって周囲の人間から評価が下がるなど、よいことばかりではありません。基本的にはお金は知人間では貸したり借りるべきではないと考えていますが、ただ実際にトラブルが起きたときに参考となる事情をまとめました。

・本人への督促が奏功しないケース
回収については基本的には友人関係のことなので本人に直接何度も催促すべきですが、なんとか理由をつけて返済を伸ばしたり、ひどい時には逆に怒られるということもあります。
こういったことが起きるとお互いの信頼関係が崩れるので、もう法的な回収の段階に移行しているといえます。
回収方法ですが、基本的には裁判を選択することになります。民事調停などの話し合いで解決する方法もありますが、話し合いが上手くいかなかったからこそ法的回収を考えているわけで、裁判で強制的に回収することを検討することになります。

・裁判の回収コストの問題
裁判となると、どんなに安くても弁護士に依頼すると20万円程度の費用は発生します。
そして裁判に勝っても、金銭トラブルの場合はこの弁護士費用を相手方に請求することはできません。そのため貸した金額が少ない場合は、弁護士を依頼することは難しいので、簡易裁判所において自力で本人訴訟を提起して裁判をすることになります(金額が少額の事件の場合、簡単な手続で裁判を起こすことが認められています)。
ただし、裁判に勝っても相手方が支払ってこない場合、いよいよ強制執行をすることになりますが、この執行は自力で申立てるのは難しく、弁護士の協力が必要な場面になってきます。
そのため、どのようなケースであれ、少額の金額の貸し借りの場合は基本的に回収コスト割れするケースが多く、法的回収は難しいといわざるを得ません。

・相手方が破産する可能性
他方で、相手に数百万円単位でお金を貸したとかの場合は、弁護士に依頼しても回収コスト以上に回収できますので、裁判にて回収を図るべきですが、逆に難しいのが相手方が破産を選択しそうなケースです。
知人間で大きな金額を借りるケースでは、通常は消費者金融や他の銀行などからお金をすでに借りていてさらに借りれないので、知人に声をかけたというケースが多いです。そのため、いよいよ知人から強制的に回収されそうになると破産を申し立てるなどして、返済を断念させようとしてきます。
そこで、大きな金額の貸し借りの場合は、事前に回収の見込みが立つかについて検討したうえで、裁判提起をすることが必要になってきます。

・まとめ
以上から、どのような場合であれ、知人間の金銭の借り貸りについては、回収が難しい問題があります。そのため知人に貸したお金については基本的に戻ってこないものとして最初から貸すしかないという話になってきます。
基本的には知人間では貸し借りはしないということが、一番よいということになるでしょう。