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個人破産のデメリット
・はじめに
個人で破産をする場合、借金は免除になりますが、逆に破産することで悪いことはないのかご不安な方がいらっしゃると思います。
自分の人生に関わることなので、きちんとデメリットについても知ってもらったほうがよいと考えますので、個人で破産する場合のデメリットについて解説致します。
・デメリット1 新たな借り入れが困難になる
破産を申し立てると、その情報が信用情報として信用情報機関に登録され、いわゆるブラックリストに載ることになります。
この場合、基本的に7年間は新しいローンを組んだり、借入を行うことはできなくなりますので、例えば住宅ローンや自動車ローンを組むことができなくなります。
ただ、クレジットカードについては、たとえブラックリストに載ったとしても一部の業者は限度額を控えめにして発行してもらえるようであり、信用枠を使わない現金決済類似のデビットカードについても同様に発行してもらえるところが多いようです。そのため事実上、日常生活にはさほど影響はないかもしれません。
なお破産を選択するケースでは、以前から滞納気味であることも多く、その時点で信用情報にすでに登録されているので、破産したほうが結果的によいケースもあります。
・デメリット2 官報に掲載されてしまう
破産は債権者に通知する手続でもあるので、破産をすると破産した旨が官報という公的な雑誌に掲載されることになります。
この官報については普通の方がわざわざ入手して閲覧することはまずないような雑誌なのですが、公開情報として破産が世間に周知されてしまうというデメリットはあります。
なお以前、この官報の掲載情報を悪用した破産者マップというサイトが存在し、破産者の情報や住所などが地図上で明らかになるものがインターネット上に存在していたのですが、現在は個人情報保護の観点からそういったサイトは削除されており、検索にもひっかからないようになっているようです。そのため、結論としては官報を見る以外の方法では一般の方は破産の事実がわからないようになっています。そのため、例えば友人・知人・親族が自分の破産を知るケースは稀になっています。
・デメリット3 一部の職種・役職に一時的に付けなくなる
破産の手続を行っている間、一部の職種については、その職業に就くことができなくなると法律に規定されています。
大きく分けて以下の3パターンです。
(1)士業関係
弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、弁理士、行政書士、宅地建物取引士などの特定の士業については破産手続中、資格が制限されます。
(2)公的な資格
公証人や公正取引委員会・教育委員会の委員など、公的な立場の一定の職について、破産手続中は資格が制限されるケースがあります。
(3)お金・秘密を預かる仕事 他
警備員、生命保険外交員(募集人)、質屋営業、旅行業、貸金業、建設業などについては、同様に破産手続中は資格が制限されます。
・デメリット4 破産手続への協力の煩雑さ
ある意味一番大変かもしれませんが、破産手続を行うと、それに付随して色々な事務の手間や制限があり、これについてもデメリットに挙げるべきかと思います。
具体的には、まず破産をする場合、破産の申立書などは弁護士が作成しますが、裁判所にはこれに合わせて色々な資料を提出しなければならず、その資料集めについては、ご本人の協力が必要不可欠になります。
たとえば破産に至った説明書の作成や、数か月分の家計簿の作成なども提出必須資料となっていますが、これについてはご本人の協力がないと完成しないものです(弁護士が架空の内容の破産原因や家計簿をでっちあげることができないためです)。ほかにも銀行の通帳を提出してもらったり、課税証明書や住民票を集めてもらったりする必要がありますので、こういった資料集めが大変です。
また管財事件となった破産手続中は、財産調査の一環として郵便物が破産管財人の事務所へ転送されて開封調査されますので、自分の手元に郵便物が届くまで転送をはさむことでタイムラグが生じるなどの不利益があるほか、海外渡航などで長期間住所地を離れることも制限されることになります。
こういった破産手続への協力の煩雑さはデメリットとなります。
以上が破産のデメリットではありますが、これらを我慢することで大きな金額の負債を帳消しにしてもらえるというメリットは確実に存在しますので、借金に悩まれている方はぜひ再生に向けた一歩を踏み出してもらえたらと思います。
なお資格の欠格となるなどどうしても看過できないデメリットがある場合は、破産以外の方法で経済的に再生することもできますので、弁護士にご相談ください。
