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遺産分割前の使い込み問題

・遺産分割の使い込みについて
遺産分割をする前に、相続人の一人が被相続人の銀行口座から出金をしていたり、現金に手をつけていたりして、遺産の金額が減ってしまっていることがあります。
これは遺産分割でよくあるもめてしまう原因の一つで、これについての対応等を紹介します。

・使い込みの処理と法的評価について
遺産の使い込みについては、それが発覚すれば使い込み分は遺産にすべて持ち戻される形になります。すでに使い込んでいて遺産がだいぶ減っていたとしても、使い込みを行っていた相続人の取り分を減らすなどして、結果的に他の相続人が不利益を被らないように調整がされます。
使い込み分を遺産に持ち戻す法的構成としては、それを特別受益と見たり、横領としての不法行為の賠償としての返還や、不当利得による返還など様々な見方をすることができ、結果としていずれの場合でも使い込み分は遺産には持ち戻される形になります。

・使い込みを立証するには
使い込み問題で最もハードルとなるのは、遺産を管理している相続人の一人が遺産の詳細を他の相続人に開示せず、遺産の使い込みがわからないようなケースです。
生前にどの銀行口座を持っていたかを他の相続人が知っていた場合については、その銀行口座の取引履歴を取り寄せれば問題ないのですが、わからない場合は銀行口座情報を調べる必要がでてきてしまいます。
この調査については、戸籍謄本を用意して各銀行窓口で口座開設の有無を照会する方法などがあり、被相続人が居住していたエリアの銀行のいくつかを実際にあたってみる方法があります。
また弁護士に依頼していただければ、弁護士会経由での照会や、裁判所経由での調査嘱託などで銀行口座情報を調べることができます。
銀行口座自体を特定できれば、基本的にどの銀行も10年分は取引履歴を保存しているので、さかのぼって10年分の取引履歴を調査し、使い込みの点を立証することができるようになります。